目次
あなたの好きな言葉をどうぞ
- 鳥のさえずりや虫の鳴き声は数えられなかったが、でているひとつひとつの音を聴いているのだという確信があった。
それらは一緒になって驚くべき秩序を生み出していた。p105
- われわれの自我の深部の異世界を解き放つこと。p192
- 「賢明な男」が死んだとき、彼の日記には日付けがついているだけで、
何も書いていない。彼の人生には何ごともなかったのだから。p46
- 明晰な意識の光のさなかでの実践的な自由の再建はどのようにして可能だろうか。p63
- かれらは盲目であるのではなく、ほんとうは必死に目をつぶっている。p66
- 明日というのは永久に来ない。歴史はいつでも今日なのだ。p72
- パンにバターを厚くぬるためにあらゆる卑屈な自己欺瞞を生きる不幸と、
この屈辱を拒否するたたかいの敗北を生きる悲劇とは、その生にとっての意味を等しくはしないであろう。p202
- アクチュアルなもの、リアルなもの、実質的なものがまっすぐに語り交わされる時代を準備する世代たちの内に、
青青(せいせい)とした思考の芽を点火することだけを願って、わたしは分類の仕様のない書物を世界の内に放ちたい。
- けれどもわれわれは、時間がしばらく「貸し与えて」くれているこの意識のある生命の数十年間のあいだに、そうでなければ決してしなかったような仕方で世界を見、この世の花で友情を織ったりすることができる。そしてこのように世界を見、友情を織ったという事実は永遠だ。『タイス』の登場人物のひとりがいうように、<あなたが生きた>という事実、今日このように語り、飲み、歌ったという事実は不可逆的であり、消えることはない。p5(同時代ライブラリー)