Sun, 25 Apr 2004

企業の社会的責任とブランドの未来

あんまりシゴトの話はしたくないんだけど…。

「ブランド」ってどーもうさん臭いですよね。仕事で使っててイヤになる単語の代表です。正直言ってどーでもいい。なるべくなら関わりたくない。「マーケティング」や「ターゲット」なんていう得体の知れない言葉を使って生きたくはない。しかしまあ、(今はまだ)デザイナーとして広告だのブランドだのに否応なく関わってしまっているので、ここはひとつ建設的な「ブランド」のとらえ方を考えてみたい。

このところ図書館に通って「企業の社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibiliry)」に関する本を乱読。おもしろい。とくに関心は、ブランドとの関係。

ナオミ・クライン「ブランドなんか、いらない」はまの出版
において、既に問題は十分すぎるぐらいに指摘されている。生活者はブランドの欺瞞を鮮やかに見抜いている。「ADBUSTERS」に代表されるカルチャー・ジャミングは、自分達の創造性が消費社会の拡大に利用されることに反発するクリエイターの本能的な対抗運動だ。

でもさ。
「いらない」と突っぱねたり皮肉にジャミングしてみたところで、ブランドは無くならないし、消費はつづくだろう。否定や攻撃だけで世界を変えることはできない。世界を変えてゆくのは、創造的な解決策の提案(と実行)であって、それを仕事としているのがまさにデザイナーではないのか。

水尾順一 編著「ビジョナリー・コーポレートブランド」白桃書房
は、示唆に富んだ視座を提供してくれている。生活者はもはや商品だけでなく、社会的責任を果たしているかどうかという、企業姿勢そのものを評価しようとしている。これからは、社会的責任を果たし、共感できる夢を語ることのできる企業だけが、「企業ブランド」として評価されてゆくだろう。

こんなブランドなら関わってもいい。CSRを重視する企業と生活者は、新しい、誠実なコミュニケーションを必要としていて、デザイナーはそこに貢献することができるはず。

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