ちかごろの気流舎

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Tue, 06 May 2008

豊かな社会



レヴィ=ストロース「労働の表象」『構造・神話・労働』みすず書房

 十二年ほど前に、人類学者のあいだで、ひとつの発見がありました。すでに十八世紀の思想家や哲学者たちがそのことを直観してはいましたが、私は、その発見をした人たちと同じように、それが現在においてもたしかに重要な意味を持つものと思っております。
 その発見とは、技術的に水準の低い社会にあって、農業をまったく知らない人たちや、農業を知っていてもそれに目を向けずに狩猟や採集のみによって生活を営んでいる人たちが、自分たちのあらゆる欲求を満足させるために、きわめて短い労働時間しか必要としていないという事実であります。一般に、一日に三、四時間も働けば、一家族が生きるのに必要な物質はすべて得られますし、そのほかのさまざまな欲求をも満たすことができるのです。それゆえに、当時ミシガンのアン・アーバーにいた、私の友人である人類学者、シカゴ大学教授マーシャル・サーリンズが、このような採集民族の社会を「豊かな社会」と名づけました。パラドクサルな面白い表現といえるでしょう。


こーゆうことは知っておいたほうがいい。
マーシャル・サーリンズ
『石器時代の経済学』法政大学出版局
という本を書いている。
その第一章の原題が The Original Affluent Society
Prickly Paradigm Press の発行人で
Creative Commons について語ったりもしている。

て、か、!
Prickly Paradigm Press は『アナーキスト人類学のための断章』を
出した出版社ではないですか! サーリンズはグレーバーの指導教官らしい。


と、ここまで書いて検索してたら
イルコモンズさんが同じことを
とっくの昔に書いていたことを発見し、
いささか敗北感。

2 Comments, 0 TrackBack | category: /alternative | permalink

Comments

クロロ wrote: No title

サーリンズの『石器時代の経済学』は面白い本だよね。

彼は、旧石器時代の家族制経済に《生きているコミュニズム》を見出している。世帯を切り盛りすることにおいて、「各人はその能力に応じて働き、必要に応じて得る」という真の意味での分業が確立されていたというわけですね。

それが新石器時代に入ってくると農耕・牧畜が始まり、定住=備蓄システムが生じるようになる。生産物を蓄えるというこの「豊かさ」こそが、人類の不平等の起源ではないかという説もあります。

サーリンズはマルクス主義的な人類学だと思うけど、弟子のグレーバーはアナーキスト人類学なんだね(笑)。

かとう wrote: No title

おー、さすが読んでますね。
じつはぼくはまだ読んでません!汗

農耕の始まりはいろいろな変化の契機になったようですね。
ヒト300万年の歴史のうち、農耕を始めたのはたったの1万年で、
それまでは狩猟採集で自然の一員として生きてきたことを
忘れないようにしたいなと。

マルクスからアナーキズムへの変化は人類学だけの話ではなく
いろんな分野で起きつつある変化に対応しているんでしょうなぁ。

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